花屋の本業は 新鮮で丈夫な花を届けること。(花辰生花店 林原浩一さん)

「生まれてずっと花屋で大きくなったからね、この道しか知らなかった。」
お花といえば花辰。そう言う方も多いのではないだろうか。
それもそのはず、花辰生花店は100年以上もの歴史を持つ、福山で屈指の老舗の花屋だ。
4代目の林原浩一さんからお話を聞いた。

花でたどる
時代ごとの福山の風景

「そもそもの始まりは、これはうちの祖父から聞いた伝承ですよ。明治の30年ごろ、今の宮通りのあたりで初代の辰吉という人が片手間で庭師をやってた。その頃、寺町にあるお寺に、花道に腕の立つ住職さんがいて、その方を訪ねて京都の家元の人が福山に勉強しに来ていた。年に何回かね。ところが当時は花屋がなくて花材を集めるのが大変で、それを私の曽祖父である初代の辰吉が手伝った。こんなものが欲しいという頼みに、山に行ったり集めて廻ったわけです。
その花材が余って、自分の庭先に置いていたところ、ご近所の方がお墓参りや家に飾るためにお買い求めにお見えになった。それが花屋の始まり。」

当時の街中では山の草花は簡単には手に入らないため、需要があった。遠方まで自転車で花材を集め廻っていたが、2代目になると、自家栽培で花材を生産するようになる。
畑は現在の草戸町のあたりで、山では木の花、平地では草花を作っていた。次第に近隣の農家から作ってるものを分けてもらったり、今ならこんな花が売れるなどの指導もするようになり、生産者が増え沢山の花が集まるようになる。父親である3代目の作一郎の時代になると花市場を設けて、生産者が持ってきた花をせり売りにかけた。

現在の場所に店を構えたのは、戦後間もない昭和22年。きたはま通りは戦前は入江だったが、戦後は福山駅からアメリカの進駐軍(現在の鋼管のあたり)までを結ぶ道になり、戦後の焼けの原の中で、コンクリ造の新しい道は珍しかったようだ。
「昔はタイル状で、ガッタンガッタンするんだけど、当時はそれでもこの辺りでは一番新しい綺麗な道だったんでしょうね。」

「花辰に行けば、何でも揃う。」を目指して

老舗の花屋で育った浩一さんは、自分が花屋を継ぐとはあまり思っていなかったらしい。「小さい頃から、どこに行っても『花屋のこうちゃん』って。男の子で花屋もなんだかな、という思いもどこかしらあったけど、結局、この道しか知らなかったんです。」

花辰さんといえば、いつも元気な奥様の存在も欠かせない。奥様は、結婚前はお店によく来るお客さんだったらしい。写真は恥ずかしいとのことで、娘さんからプレゼントされた似顔絵で。

大学出て20代の頃、親戚の紹介で東京の花屋に修行に行き、充実した花市場の中で、仕入れのルートなどを学んだ。この経験が大きなお土産になり、福山に帰ると東京で扱うような花を仕入れるようになる。
 昭和56年、4代目を継ぐ。「時代は好景気。とにかく他にはない珍しい花が求められる時代です。『花辰に行けば何でも揃う』を目指しました。」

新鮮な花にかける思い

現在も現役で代表をしている浩一さんだが、仕事を続けてきた中で、一貫して大事にしていることがある。それは『花は新鮮さが第一。』ということ。


「お花は自分のためにはなかなか買えない。人にあげるために買うことが多いです。後に残らない分、やはりもらった瞬間の華やぐ気持ちは格別です。でも時には花屋さんが競合することもあります。他の花屋さんの花を一緒にもらうことがありますよね。そういう時、もらった方は、どこの花屋さんから来てるかを大体見て比べます。私が思うお花の評価というのは、もらってどのくらい自分の目を楽しませてくれたかが重要です。どのくらい華やかな気持ちにさせてくれるデザインか。どのくらいの時間、新鮮な美しさを保てるか。だから、いかに新鮮で丈夫な花を届けるかを大切にしています。」

「あなたの思うようにやりなさい。」

歴史が長い分、花辰ではこれまでにたくさんの人が働いてきた。花辰を巣立って独立した人も多くいる。

浩一さんはこう語る。「次の代になる人間は、また違うポリシーでやるかもしれないけど、それはそれで自分が思うようにやればいいんです。あなた方が思うようにして売りなさいと。こうしなければいけないなんてことはない。でもお金をもらう以上は、新鮮で丈夫な花というのはもちろんの事だけど、このお店はいろんな方に支えられてきて、信頼されているんだという事を常に心掛けていく姿勢を持ってやっています。」

福山の花屋の礎を作ってきた場所は、これからも多くの人材を育て、人々に新鮮な花を届けていくだろう。

きたはま通り
●株式会社 花辰生花店
福山市船町1-6
OPEN:9:00~21:00
TEL:084-923-2570
http://www.hanatatsu.com
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